ACI障害記


 
水産養殖研究所(ACI)製作の発端は、フォースの質問BBS(2005年5月)の話題でした。建物が水に浮かんでるのを見て、水中に建つ建物でも作ろうかと、実験的に円筒を水中に建てているうちに、よし、海洋調査研究所(MRI)を作ろう!と思ったのがそもそもです。水中に塔が建っているだけでは市街地から孤立したイメージになるので、塔と陸地をつなぐ通路も付けて、いざ、製作開始(現在、海上研究塔となっているモデルの製作です)。
  ところが、これが想像したよりもやっかいで、円筒オブジェクトの多用でポリゴン数が多くなって重くなるわ、小物の配置が全て回転移動になるわで、えらく手間のかかることになってしまいました。しかも、エクスポートしてみると(下図)、画像に細かい上下の乱れが発生し、手抜きのLODsは海面とうまく馴染んでくれません(丸印右)。海中通路も画像では地面と馴染んでいますが、当初は地面に穴をあけていました。さらに、MAXISの想定外とはいえ、建物が海底地下に潜った部分の影が 、必要も無いのに異様に表示されてしまいます。海中通路の室内照明も点いたり、点かなかったりと問題だらけ。おまけに、下の養殖場の問題と同様 、ズーム1,2のときに、制御できないLODsによって海中通路の上の海面が消えてしまう問題も発生。 問題の解決や調整に数ヶ月費やすことになってしまいました(仕事多忙化と飽きも含む)。

  画像の乱れはLODsと建物の間に余裕があれば軽減されるようですが、海面との馴染みの問題もあるので適当なところで妥協しました。
  海面や地面との馴染みの問題はLODsを細かく作ることで解決しました…と思ったら、これが解決してなくて、ズーム3,4のときに、塔や海中通路の画像が消えてしまう問題が発生。いろいろ試してみたところ、細いパイプ状のLODをつくると、ズーム3,4のエクスポート時にLODのパイプがつぶれて、レンダリングが失敗することが解り ました(たぶん)。そのため、LOD5よりも形状の荒いLOD3,4を別途作成するはめになりました(海中通路に、かっこつけてテンションロッドなんか付けたのは愚かでした)。

  地中部分の建物の影は地中に埋まる部分を少なくして妥協し、海中通路の照明問題は放置しました。
  ズーム1,2で海面が抜ける問題は、海中通路から海面上に突き出た部分を削除して回避しました。

  そうこうしているうちに10月になり、こんなに手間をかけたのなら、塔の中心となり大学の機能も持つセンターを作ろうかと思ったのが運の尽き。海上研究塔に合わせて円筒形にしたものだから、これまた、えらい手間で、もう少しディテールを…と思っても、とにかく面倒くさい。 そして、SOMYさんの"油田"やNOBさんの"油屋"にヒヤッとしつつ、他のゲームにも浮気して、なんだかんだで2006年。
  周防さんやY.Hさんのジオフロントを横目で眺めつつ、屋上の小物をシコシコ作って中央研究所が完成したのが4月でした。完成した研究所群をマップに配置してみると、海中通路の影が目立ちます( 下図)。そのため(海中通路はprops設定だったので)、影は無しにしました。

  さて、これで完成と思ってはみたものの、何か物足りないものがあったので、ラグ太郎さんのサイトのBBSで憶えた潜水艦を添えようということにしました。軍事用の潜水艦はテーマに合わないので、観光用の潜水艦をネットで探してみました。当初は沖縄の"もぐりん"を予定していましたが、現在運行されていないので、ハワイの ATLANTIS ]W にしました。この潜水艦は世界最大の旅客潜水艦で、64人乗りです。ATLANTIS関係の観光案内も多く、3Dデータのページもあったので比較的楽に(2日で)モデルは完成しました。3Dデータは有料で100$〜150$もするのですが、SimCityスケールでは、そこまでのディテールは必要ないので、100$はハワイに行ったときに本物に乗るためにキープし、眺めるだけにしました。本物の ATLANTIS は写真で見ると手すりが目立ちますが、上述のLODの問題で画像が汚くなるので、手すりは省略しました。

  さあ、今度こそ完成…と思ったら、なんと潜水艦にも魔物が潜んでいました。このページを書くためにもう一度ネットを調べてみると、参考にした3Dモデルは ATLANTIS ]W ではないようなんです。観光案内の方もいい加減な写真の使い方をしているので気が付かなかったのですが、片側13個の窓と日本人の作ったページから判断すると、3Dモデルの方は48人乗りの ATLANTIS なんですね。べつの資料で ATLANTIS ]W が全長30mとわかっていたので、48人乗りの全長20mに対し1.5倍のモデルを作ってしまったわけです。あわててロットの解説を修正し、モデルサイズは縮小するには限界なので、SimCity用にデフォルメしたことにしました。

  潜水艦完成後、ロットのオリジナルUIも作成し、今度の今度こそ海洋調査研究所(MRI)がめでたく完成!…後は、解説を作るだけ となりました。そこで、解説の参考にするため、似たようなテーマを探してSTEXを検索すると、ありましたね、PEGASUS氏のロット。円筒ペースのデザイン、浅海構造物、海洋研究所を中心としたハブ構造、海中観察のできる窓、調査用の小型潜水艦、観光用ボート、大学の機能…似てますね…いや…似てると言うより、同じじゃねーかよ!

  ということで、1年かけて作った物をボツにはできないので、泣く泣く路線変更を決定したのが2006年6月。
  そして、いままでの資源を生かすため、たどり着いた(本当は安易に決めた)結論は"養殖場"の追加でした。また、ロットの種類やプロパティは変更したくなかったので、研究所の体裁は残すことにしました。
  つまり、ここに至って、海洋調査研究所(MRI)は、水産養殖研究所(ACI)となったわけです。

  養殖場はハイテク仕様とし、魚のモデリングのまずさを隠せるよう、遺伝子操作した生物を養殖することにしました。 また、養殖場をつなぐパイプユニットを配置し、収穫まで無人で行なえるものとして、漁船の製作を回避しました。
  養殖場にも表現上の問題があって、本来は下図の2(右)のように、養殖場の上部が少し海面上に出ている方がリアルで、画像にもメリハリがついて良いのですが、養殖場の上部を海面上に出すためには下図1のLODs(中央)では養殖場に水が入 りません。下図2のようにLODsを加工する必要があります。しかし、下図2で作ったロットも、ズーム1,2ではユーザーがコントロールできない、システムが作る簡易なLODsによって、下図1と同じ表示になってしまいます。そのため、場所を 取る養殖場はズーム2で鑑賞されることも多いであろうと考え、全てを水面下のロットとしました。魚は目に見えない柵によって外には逃げられないことにしました。



  尚、養殖場が地上ではどのように見えるかに興味のある方は、養殖場を配置後、調査マップ(データビュー)で水質汚染を調査してください。海面が消えて、手抜きテクスチャの、どちらかというとギラギラしたロットが見えて来るでしょう。
  その他の問題としては、昆布畑は浮かないよう、もう少し色を明るくしようと思いましたが、疲れたのでやめました。また、養殖場に農業需要を満たす機能を付加しようとしましたが、うまくいかないので、これも止めにしました。

  と、まあ、たいした建物でもないのに問題続きで1年余り、やっとどうにか完成、ここに公開に至った次第であります。  交通を海底に通せれば、住居や勤め先を作ったり、16m(水深16m)シリーズとして海底都市に発展する可能性もありそうですが、とりあえず今回はこれにて終了。次は 、おとなしく普通のビルにしようと思ってます。
 

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