渋谷清掃工場の説明
自都市内でゴミ処理をしようとすると、SimCity4で設置出来るゴミ処理施設は、埋立地とリサイクルセンターとエネルギー焼却炉です。しかし、高密度の住宅・商業系都市の場合、これらの施設は公害のひどさで、まったく都市に馴染みません。普通はゴミを輸出するようになるでしょう。 それでも、景観都市でゴミも輸出しない優良都市造りを目指している人や、都市間取引が面倒だと思っている人には、自都市内でゴミ処理をしたいという需要があるでしょう。かといって、ロットを改造して公害を無くしただけでは、何か不正なプレーをしているようにも感じてしまいます。適当な本物をモデルにして 大儀名分の立つロットを作りたい… ということで、モデルに選定したのが東京都渋谷区にある「渋谷清掃工場」です。2001年8月1日より操業の最新ハイテク施設です。鉄道や道路が緩衝帯となってはいるとはいえ、住宅もある高密度市街地の真ん中に堂々と建っています。渋谷清掃工場は東京23区で最も小規模で、エネルギー焼却炉の敷地4×4に収めやすい大きさです。 処理量は200d/日です。焼却炉は「旋回流型流動床焼却炉」というもので、簡単にいうと、真っ赤に焼いた砂を空気で沸騰した状態にして、その中で細かく砕いたゴミを燃やす方式の炉です。重い砂が沸き立った状態の中に軽いゴミが入ってくるので、ゴミは空中で燃焼し、その燃えたゴミが砂を加熱することで連続燃焼(24時間運転)が可能となっています。この方式の炉は構造が縦型となるので、狭い敷地に向いています。ゴミの燃焼から得た熱は発電に使い、工場内の必要分をまかなった残りは東電に売っています。 砂のかくはんとゴミの燃焼に使う空気は工場内で吸引しています。工場内の空気圧を外部よりも負にすることで、ゴミの臭気が外に出ないようにしています。また、ゴミの燃焼により発生する公害物質はトコトン除去しています。その過程で使用する水についても同様です。仕様上は、少なくとも SimCity 4 レベルでは、完全無公害の工場と言っていいでしょう。焼却灰は他の清掃工場で溶融処理され、さらに圧縮された溶融スラグとなって埋立地に埋立てられます。この溶融スラグも道路の舗装材としての利用が図られ、埋立て量を減らそうとしています。 参考として、不燃ゴミについては、専用の工場に搬入され、そこで資源回収を行なった後、可燃物は焼却されます。埋立地で埋立てられるのは、焼却灰(まもなく溶融スラグ化)と溶融スラグ、資源化不能な本当に燃えないゴミ、ゴミに混じった土砂、下水汚泥、一部の産業廃棄物などです。 使える埋立地は残り一箇所のみ、最後の埋立地に東京23区は必死です。 |
建築概要
工 場 規 模 |
200t/日 (焼却炉200t/日・炉×1基) |
敷 地 面 積 | 約 8,430u |
建 築 面 積 | 約 5,380u |
延 床 面 積 | 約 16,500u |
工 場 棟 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 地下3階、地上6階 高さGL+44.5m |
煙突(スタック) | 外筒 鉄筋コンクリート 高さ 147m 内筒 ステンレス鋼板製 高さ 149m |
建設工事費 | 約 133億円 |
操 業 開 始 | 平成13(2001)年8月1日 |
設備概要
焼 却 炉 |
全連続燃焼式流動床炉 焼却炉 200t/日 1基 |
廃熱ボイラ | 加熱器付自然循環式水管ボイラ 蒸発量 31t/h 蒸気圧力・温度 4.02MPa 400℃ |
公害防止設備 | 集塵設備(ろ過式集塵機) 排ガス温度 常用150℃ 洗煙設備(排ガス洗浄塔) 温式苛性ソーダ洗浄方式 触媒反応設備(触媒塔) 排ガス温度 200℃ |
汚水処理設備 | 二段凝集沈殿+ろ過方式 処理量 140㎥/日 |
余熱利用設備 | 蒸気タービン発電機 形式 抽気復水タービン 蒸気流量・圧力 最大 23.1t/h 3.82MPa 発電機出力 最大 4,200kW 場外熱供給設備(計画中) 高温水 1Gcal/h 130℃ |
公害防止基準
項 目 |
法規制値 | 自己規制値 | |
ば い じ ん | 0.04g/㎥N以下 | 0.01g/㎥N以下 | |
塩 化 水 素 | 700mg/㎥N以下 (430ppm以下) |
10ppm以下 | |
いおう酸化物 | 総量規制 | 78㎥N/日以下 (約46ppm以下) |
10ppm以下 |
K値規制 | 36㎥N/時以下 (約510ppm以下) |
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窒素酸化物 | 総量規制 | 4.53㎥N/時以下 | 3.17㎥N/時以下 |
濃度規制 | 250ppm以下 | 50ppm以下 | |
水 銀 | − | 0.05mg/㎥N以下 | |
ダイオキシン類 | 0.1ng-TEQ/㎥N以下 | − | |
水 質 汚 濁 | 処理水(放流水)は、下水道法の下水排水基準以下 | ||
振 動・騒 音 | 「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」の基準以下 | ||
悪 臭 | 「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」の基準以下 |
− 表は 2004.8.12 見学時配布資料より(なんとBATのために見学!展示されてる模型を見たかったので・・・) −
[モデリング] 実物と大きく異なる点はニ階レベルへの進入路のカットです(模型写真:黄色線の位置)。矩形以外のロットができないことと、工場を4×4に収めるため削除しました。また同様に4×4に収めるため、全体の寸法をタテヨコ高さ共に約80〜85%に縮めています。その他、模型と比べて分かるように、微妙に比率を変更してます。いずれにせよ、図面が無いので全て目分量です。ただし、煙突(スタック)の高さは視覚効果が悪くなるので、実物の高さ149mのままにしています。煙突にはテーパーもついているのですが、SimCity 4の画面ではギザギザが目立って煙突の美しさが損なわれるので、上から下まで同じ太さとしました(大脳の視覚系が補正してくれるので、それほど違和感は感じないだろうと…)。 高架の電車(東横線)が通っている部分は緑地にしました(芸無し)。 外壁の仕上げはタイル系と塗装系で、どちらも色はベージュ系です(他の清掃工場では白と青が良く使われています)。塗装系の仕上げには光沢があるのですが、ロットには反映していません(技術が無いので、できませんが正しい)。 煙突には航空障害灯が設置されていて、昼間はフラッシュ、夜間は赤色の点滅です。ロットではフラッシュの小道具がないので、昼間も赤色の点滅灯(遅い方)を使用しています。尚、 煙突から煙はでません。本物の煙突から排出されるのは二酸化炭素と水蒸気がほとんどで、黒い煙の元となる 煤(すす)類はありません。また、外気に触れた水蒸気が凝縮して白い煙とならないよう、処理過程で冷やされた排気は200℃に再加熱されて排出されます。 煙突の内部には、主排気筒の他に冷却などに使った空気の排気筒がもう一本と、管理用のエレベータと螺旋階段が設置されています。 夜間照明は、住居に面した窓に特殊なフィルム(正面の視線には不透明、斜め視線には透明)を貼るぐらい近隣住民に気を使っているので、見てはいませんが、管理上 の最小限だと思います。ロットもそのような感じにしました。 |
[数値] … ほとんどが数値を変えない理由付け ・ゴミ処理能力:エネルギー焼却炉のゴミ処理量は調べてみると 500t/月 です。渋谷清掃工場は 200t/日(6000t/月)で、エネルギー焼却炉の12倍の処理能力を持っています。しかし、プラグインマネージャの設定値50000(単位表示なし:t/月?)と比べると、今度は1/8になってしまいます。差が大きくて比較のしようが無いのと、エネルギー焼却炉の代替施設であることを考え、処理量は変えないこととしました。 浮動少数は負荷が高いので、50000は500.00の意味で、整数を固定小数として扱っているのでしょうか。 ・電力供給能力:発電量はエネルギー焼却炉の5,000MW/hに対し、渋谷清掃工場は4.2MW/hです。住宅・商業系の都市では、電力供給は別途整備されていて、清掃工場が電力バランスを崩すのは変ですし、何よりも目的はゴミ処理なので、発電量は4としました(内部使用による電力減は無視)。 売電量のデータが豊島清掃工場のサイトで紹介されてました。それによると、発電能力(7800kW/h)に対して、約553MW/h/月の売電量だったそうです(H14年度)。渋谷清掃工場の発電能力(4200kW/h)の場合は、約300MW/h/月が期待できます。それでも、エネルギー焼却炉の6%なので発電量は4のままとします。…(10月16日追記) ・火災発生率:reader でオリジナルのエネルギー焼却炉を見ると、火災発生率がプラグインマネージャの規定値よりも高いのですが、最新のハイテク施設で防火対策も進んでいることとして、プラグインマネージャの規定値としました。 ・寿命:エネルギー焼却炉の寿命は80年です。ゲーム上は妥当な値としてそのままとしました。 ・公害:ソーラー発電プラントでも公害が出ているので、多少は大気汚染を出してバランスを取ろうかと思いましたが、このロットがゴミ管理を楽にするための付加施設であるので、本物の仕様通り全て0としました。 ・建設費:建設費は、実際の建設費133億円が何§に換算されるのか不明なため、そのまま 25,000 としました。 ・撤去費:エネルギー焼却炉の撤去費 2,250 そのままとしました。 ・維持費:人口100万人の住宅専用都市でのゴミ処理費(外部委託)を調べたところ、トン当たり 直接(隣接都市内でゴミ処理)で§1.05、間接(隣接都市がさらに別都市に輸出)で§1.14でしたので、単位処理費を§1.00/トンとして、これに処理能力500t/月を掛け、§500を基本維持費としました。 なお、維持費の変化で寿命の大まかな把握が出来るため、維持費の増加率は変更していません。そのため、維持費は寿命の半分(40年)で約§530、寿命の90%(72年)で約§930となります。 また、ゴミの処理費は従量ではなく固定になるため、住民の負担はさらに増えます。差額は住民にゴミ処理チケットを買ってもらうことにしました。それから、 維持費§500ということは、エネルギー焼却炉の維持費§1000に対して、電力生産が無くなった分の差額が§500ということでもあります。 ・水消費量:水の消費量は資料にはないので、ポンプ場の0.5%、100㎥/月 としました。 ・幸福度:これをどうするか迷いました。公園効果をマイナスにして、総論賛成・各論反対、「建ててもいいけど家の近所はいやよ」という状況を作ろうかと思ったのですが、これも公害と同様の考えで数値リストに付加しないこととしました(付加が実際可能かどうか調べてません)。 ・その他:雇用など、その他の値は特にゲームに影響はないか、調整が難しいため規定値のままとしました。 参考リンク:渋谷清掃工場、他の清掃工場の写真、清掃一部事務組合 |